「プログラムは文学だ」
 プログラムのいろはくらいを覚えていい気になっていた自分に、 プログラミングのなんたるかを教えてくれたお師匠、大学の助教授(当時)の言葉です。
 実際、名を馳せた人のプログラムからどうでもいいようなプログラムまでさんざん読まされましたが、 いわゆる天才と賞される人のプログラムって、確かに読みやすく、 読み進める内に構造化された関数やデータに秘められた深い意図を理解できるようになります。 あるしきい値を越え、そういうことが理解できるようになると、 美しいプログラムを読むことが急に楽しくなってきたものです。

 研究室創設以来の不肖の弟子と評されながら、大学をあとにして、 そうそうとプログラムで飯を食っていくことをあきらめ、 しがないサラリーマン SE としてシステム構築を生業としている今、 プログラムが文学であるならば、「システム構築は演劇だ」と思ったりしています。

 人が欲しているものを調査し、資金を確保して、 ネットワークやプラットフォームという大道具、小道具をそろえて、 プログラムや業務フローという台本を書く。
 それらをたくさんの裏方で整備して、最終的に実際にそれ使う業務に従事する人たちという役者さんに それを演じてもらう。
 その演劇のプロデューサー、演出家とは、 システム構築においてはさしあたりプロジェクトマネージャーというところでしょうか?

 最近、プロジェクトマネージャーなどという柄にもない仕事について、本当にきついですが、 道をそれた文学家の不肖の弟子はそんなことを考えながら、それでもそんな一つの境地を目指しています。