「 Apple iTunes の音楽ダウンロードが 5 億曲突破」
「 Apple 、 9 月にも音楽ビデオ販売に進出か――米紙報道」
「 『アイチューンズ』設立も東芝やソニーは沈黙」
(以上、 ITmedia より)

 CD/MD/DVD 時代とハードウェア的側面から音楽文化を見ると、 ここ何十年か日本は技術的に世界をリードしてきたと言えるのでしょう。
 しかし、大きく時代は変化しました。
 楽曲は CD による物流から、ネットワークによる配信に移り変わりつつあり、 (最近は CD に DVD がついてくるように)自然な流れとして、 配信の対象をプロモーションビデオなどの映像クリップへと その動きは加速しています。 また、ハードウェアだけでは、音楽に新しい楽しみ方を 提案し辛くなっているようにも思えます。  しかし、この iPod という ハードを中心に起きたここ一、二年の大きなパラダイムシフトに、 残念ながら日本はついていけていないことを痛感せざる得ません。

 確かに Apple が 万人に利益を享受する未来を築こうとしているかと言えば、そうではないでしょう。
 iPod/ iTunes を 中心に築き上げた生態系をもっとオープンにしていけば、 音楽配信の全世界共通のプラットフォームとして、 さらに大きく爆発する可能性は十分にあると思いますが、 どうやらかの会社にはその意思はなさそうです。これは非常に残念なことだと思います。
 だからと言って、音楽文化が新しい方向に花開き始めていることに対して、 阻害していると判断されても致し方ない保守的な態度で抗しては、 新しい文化に順応できない、古い文化からの後遺症だとしか思えません。

 文化論ではなくビジネス的に見れば、このパラダイムシフトにおいて、 間違いなく莫大な金銭の流れの変化も起こっているのでしょう。 利益を追求する企業として、それを手をこまねいて見ているだけでは無能とも評価されるでしょう。 しかし、流行として顧客優先などと建前だとしても口にしているのであれば、 大勢の決まった戦局において、いつまでも無意味に戦線を維持し続けることは、 はっきり言って無能以上に、ユーザにとっては迷惑です。