楽天 から boko Touch の 発売を開始 、 kobo イーブックストアでのコンテンツの展開が始まっているようですが、 決して 評判の いいものばかりではない ようです。

「ほらね!?」って話では生産性が 0 なので、 もし自分が電子書籍、特にコンテンツの展開を任せてもらえるなら…と考えて、 論理の展開をまとめたいと思います。

 まずは販売ターゲットです。要は端末含めてコンテンツを誰に買ってもらうのか?というところ。
「読書好き」…そんな漠然とした層をターゲットに設定しても戦略が判然としなくなるのは当然です。 いろんな本を読むから「読書好き」なのですから、どこからコンテンツをそろえていけば火がつくのか 考えるだけ無駄です。
 ですので販売ターゲットはまず以下の二つの層に絞ります。
  1. 受験を控える中学生から高校生(とその親族)
  2. IT エンジニア(特にソフトウェアエンジニア)
 これはなぜかというと、常日頃、電子書籍端末より重い書籍を持ち歩かないといけない、 もしくは持ち歩きたい人たちだからです。

 まず一つ目のいわゆる受験生は教科書、参考書、辞書などの書籍を大量に抱えて通学しており、 軽い電子書籍端末にこれらの書籍を詰め込めるなら飛びつくでしょうし、 また若い世代なのでデバイスそのものに嫌悪感はないどころか、慣れるのも早いでしょう。
 昨今、入学祝いなどは電子辞書が人気というところからも、 お子さんが効率的に勉強をするために欲しいと言えば、その両親は出費するでしょうし、 その祖父母からの出費も望めます。
 特に女性に受ければしめたもの。新たな使い方や、別のコンテンツも売れる道が開けるかもしれません。 「まだ紙で本読んでるだ。。。」とか言ってくれれば中高年層への普及が早くなるかもしません (^^;>
# kobo とか電子ペーパーなら目にも優しいってのも売りになると思うなぁ…
## あと受験が終わればコミックやライトノベルを買ってくれるではないかなと…

 次の IT エンジニアに関しては以前からなぜここをターゲットにしないのかと言い続けています。
 各種マニュアル類は自力で PDF 化するなり、メーカーなどが提供する電子マニュアルを そのまま突っ込んだり少なくてもそれなりに購入すれば活用してくれそうですし、 なにより彼らがお金をかけてそろえる専門書籍、参考書のたぐいは高価で重いものばかり。
 何よりこの層が「使える」と感じれば、喧伝してくれる可能性も高そうです。

 ここまでターゲットを絞ると、コンテンツをそろえるためにどこを口説きにいくかも明確です。
 いわゆる漫画から文芸書までそろえる大手出版社は、市場が大きくなれば自力でやってきてくれますし、 今ある商品は出してくれるでしょう。そんなところに躍起になって「うちにだけ!」とか言ってるから進まないのです。
 狙うは準大手、中小出版社です。

 まずは教育系出版社です。
「受験に出る〇〇」とかもいいですが、狙うは「赤本」、 教学社 の大学入試過去問題集です。
 受験を経験したことのある人なら一度は買ったことがあるはずで、 それも一冊に止まらなかったでしょう。また数年分の過去問が綴じられているので、とにかく一冊一冊が重い。
 またこれらは毎年毎年、新しいものが発行されるので、その際に電子書籍を意識してもらえるよう、 来年からと言わず、今年もまだ間に合うなら明日にでも口説きにいってはどうでしょう?
 んで、来年の春くらいに受験生をターゲットに「端末買えば電子版赤本1冊プレゼント!」なんて キャンペーンどうでしょう?

 次は O'Reilly Japan です。 これも以前に言及しましたが、なんせ既に彼らは出版している資産を電子データで販売しています。 なぜうちでも売らせてくださいって頭下げにいかないんでしょう。
 他にも IT エンジニア向けの書籍を刊行しているところは 比較的電子データで持っている、すでに販売している確率が高いと思うんですが、 なぜ行かないんでしょう?
# 因習が…って話はひとまずなしにしてください m(_ _)m

 そもそもにして大手出版社を口説いて、紙で出せばベストセラーになるような商品を揃えようとする目的は何ですか? それが理解できません。紙で売れるんです。わざわざ手間とお金をかけて電子書籍にする、 そんなモチベーションが彼らにあれば既に電子書籍元年は明けてます。
 まして過去の出版物にいたってはこれから電子データ化して云々では、 もっとモチベーションが上がらないでしょう。

 まずは「読書」ではなく、必然性としてべらべら本を頻繁にめくって「本を使う」人たちが必要とする コンテンツに絞って品揃えを行い、 確固とした「アーリーアダプター」を形成して「便利」を体験してもらう方が先です。 文芸作品で「感動」を体験してもらうのはその後でもいいでしょう?

 長くなりましたが、要は弾もないのに絨毯爆撃を企ててどうするんですか? 狙うは一点突破。違いますか?

 以上。どうですか?出版のド素人が考えた戦略は?まぁ笑ってやってください d(^^;

「 楽天『 Kobo Touch 』のスタートダッシュと今後を考える」ITmedia eBook USER より)