Copilot+ PC っている?

投稿者: | 2024年6月10日

とにかく久々に聞いてもピンとこなかったと言うより、必要性がまったく伝わってこなかった Microsoft がぶち上げた「Copilot+ PC」というマーケティング。具体的な製品としては、Qualcomm 製の PC 向け新型 SoC Snapdragon X を搭載した Surface Pro 11th が発表されています。

Snapdragon Xに刷新した「Surface Pro」登場。上位はOLEDに

しかも、このたった 2 ヶ月前に「AI PC」と銘打って第 10 世代の Surface Pro を売り出しておきながら、その舌の根も乾かないうちに、その AI PC は Copilot+ PC ではないと言うのです。厚顔が過ぎます。 Surface Pro 10 を買った人に謝ってくださいって感じです w

Microsoft、Core Ultra搭載AI PC「Surface Pro 10」と「Surface Laptop 6」

Copilot+ PC って何よ?

そもそも Copilot+ PC とは何かがよくわからなかったもので、胡散臭さばかりが鼻についてしまった次第ですが、下記の笠原 一輝氏の PC Watch のコラムを読んで、結構、すっきりしました。

【笠原一輝のユビキタス情報局】 40TOPS以上のNPUが必要な「Copilot+ PC」を策定したMicrosoftの真の目的

咀嚼すると Copilot+ PC とは Microsoft が用意する開発者がアプリケーションに AI モデルを簡単に組み込める仕組み「Windows Copilot Runtime」を使ったアプリケーションを快適に利用できる PC。

で、この Windows Copilot Runtime で AI モデルを組み込んだアプリケーションで、どんなことができるようになるかというと、Microsoft が実装例をデモっていて、まずは 44 もの言語に対応する自動翻訳機能「Live Caption」…おお!日本語すら標準語がしゃべれない人間にとってはこれは便利(日本語にも対応してくれたなら…ですが)!適当に描いた絵をきれいに仕上げてくれる「Cocreator」…これも絵心のない人間にとっては素晴らしい!そして、ユーザーが PC で作った電子メール、イメージ、ドキュメントや、閲覧したウェブサイトを記録して、必要なときに質問すると探し出してきてくれる「Recall」…え?!気持ち悪い w

PC で何をしたかをずーっと監視されてるってことですよね> Recall

クラウドサービスなら絶対に利用しない機能ですが、ローカルだからと言ってずっと何を見て、何を作成したか勝手に記録されるって気持ち悪くないですか?

個人的には AI と呼ばれるテクノロジーに期待するところって補助であって、決して補完ではないと思うんです。自らの記憶や能力で管理できないからと言って、まるごと AI に任せるべきではない、少なくともそんなものを仕組みがわかっていない人間に利用させるべきではないと思います。

また Live Caption や Cocreate ってローカルでやる必要あります?そりゃまぁ情報漏洩だらなんだら問題はあるかも知れませんが、結局、がっつり Microsoft アカウントに紐付いた PC のローカルですよね? それってほんとにローカルですか? w

NPU って何よ?

そもそもこの Copilot+ PC の要件を満たすための NPU って何よ?いや、 Neural network Processing Unit を略して NPU ってことはもちろん知ってます。

しかし、NPU は今のところ、AI モデルの処理に必要な演算しか用途のない「アクセラレーター」です。過去の歴史を振り返ってもわかるように「アクセラレーター」というのは、所詮、消えゆくこと運命づけられたテクノロジーです。

特に NPU というのは、結局、ベクトル型プロセッサですから、それに当たるものは、現在の PC にもすでに存在します。GPU です。

しかも、性能的にも、Copilot+ PC の要求条件である 40TOPS って、とんでもない処理能力に聞こえますが、NVIDIA の GeForce RTX なら 4060 でもダブルスコアどころかクワッドスコア以上で圧勝です w

今の PC というのは(スーパー)スカラー型のプロセッサである CPU と、ベクトル型のプロセッサとしての役目も果たすことの出来る GPU に処理系を整理され統合された SoC で集約されています。それなのに、わざわざ AI 処理のためだけに GPU でもできるはずの処理をブーストするためだけに NPU などという盲腸のようなプロセッサを SoC の中に入れ込もうとするのか?

狭い土俵

ここからはさらにうがったものの見方をします。

今の AI ブームのテクノロジーリーダーは、ソフトウェアでは OpenAI を味方に付けてサービスを積極的に展開する Microsoft と、ハードウェアは GeForce RTX など GPGPU のシリコンを製造する NVIDIA で、ほぼ独走状態です。

しかも、NVIDIA は CUDA という同社の GPGPU 専用の開発環境を Windows に限らず Linux でも提供しており、これが NVIDIA の製品に限らず、全ての AI ハードウェアは DirectML の庇護の元、Windows クライアントでアプリケーションを開発してほしい Microsoft としては面白くないはずです。

NVIDIA にも Windows を最優先で考えて欲しいが、ハードウェアのリーダーとして無双している NVIDIA としては、GPGPU で同じ性能を実現できずに NPU などという外付けの即興ハードウェアを用意して、開発環境もろくに用意できない競合他社と DirectML と言う同じ土俵にのる理由はありません。

そこで用意したのが、ノート PC という電力効率が重要なハードウェアの中でだけで動く AI ソリューション。これがムーブメントになって、NVIDIA としても対応を余儀なくされる状況を作り出せれば、Copilot+ PC 準拠、すなわち DirectML にも本腰を入れざるえなくなります。

圧倒的性能を実現するために、電力効率を二の次としてきた NVIDIA から一本取るために仕立て上げた狭い狭い土俵、それが Copilot+ PC …個人的にはそんな PC に、それが圧倒的に安価なら考えもしますが、何なら既存ハードウェアより一回り以上高価な PC に、お金は出したくないなぁ…と言うのが結論です。

え、だって、GeForce RTX を積んだデスクトップなら Live Caption や Cocreate も、使う気はないですが Recall も動くんですよね?当然ですよね?> Microsoft さま w

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