「垂直統合型ビジネスモデルの勝利」などと
Apple の成功を称える発言をよく見かけますが、
閉息感を極めていた IT 業界においてコンテンツからサービス、
端末までと言う一点突破的なビジネスモデルで成功を収めたのは、
その戦略勘・戦術勘も去ることながら時代が味方した部分は多分にあると思います。
戦術の基本は十分に策を練り、その策を実施するに十分なリソースをそろえて押し切ることが基本です。
ただどこかしこでも同様の戦術、物量をそろえた場合、当然のことながら戦況は膠着します。
このような膠着状態になったときに、一点突破と言うような奇策は得てして成功しやすいのです。
だからといって一点突破のような奇策が最高の戦術ではないことは、
数千年前から語られる兵法にも記されていることで、
なにより奇策を成功させるには戦術眼という「センス」が必要です。
しかも、すでに
Apple も戦術を変更し、
十分な物量をそろえられる状態になって、市場での支配力を徐々に大きくしている状態です。
同じ物量をそろえて同じ戦術を実行に移すことは早々易々とできることではありません。
しかし、こと日本と言う局地戦に限れば、
iPhone を日本で販売するソフトバンク網への不満は日増しに大きくなって言う状況で、
かつ他のキャリアも Android 端末と言う戦う武器を得ました。
iPhone を iPhone である必然性をなくしてやる。
つまり幸い
iPod touch という
3G ネットワークに接続できない以外はほぼ同等の機能を有したメディアプレーヤーがあるわけですから、
高い回線品質をアピールして
Apple の製品を
ただのコンテンツプレーヤーに戻してやるアンチキャンペーンを実施するために
テザリングを開放するというのは有効な戦術だと思うのです。
しかし、現実は
ドコモ 、
au はテザリングを解放しません。
もちろん
ソフトバンク もです。
なぜなら設備投資に対するコスト回収の構造がより単純になって、
今のインターネットプロバイダがそうであるように本業で泥沼の体力勝負になることを、
できれば避けたい、不可避であってもできる限り先延ばしにしたいからです。
だからこそ携帯電話会社が、端末の開発にも口を出すし、
音楽配信や動画配信、果ては電子書籍販売にまで手を出してコスト構造をより複雑に、
もしくは回線収入以外のコスト回収手段を探そうと躍起になるのです。
しかし、あっちがやればうちもやるで東洋の片隅「日本」という狭い国の中で
こちょこちょやってる分には差などつかないわけで、結果、
iPhone のシェアをひっくり返すこともできないわけです。
ところが
IDEOS や PocketWiFi S という
スマートフォンによるテザリング解放の威力を示すことができれば、
ひょっとするとどちらかは…
もしくは 米
Verizon Wireless が
iPhone を売ることになって、
これに便乗して
au も iPhone を展開することになり、
そう言う状況になっても
ドコモ だけが
iPhone を売れない状況に追い込まれたら、
その設備力にものを言わせてテザリングの解放に踏み切るかも…という淡い期待がもてます。
ただ
Apple が
日本でも iPhone を SIM フリーで解放すると一時の甘い汁に味を占めて、
テザリング解放は先送りというシナリオもあるでしょう。
しかし、そのときは
Apple の天下がひっくり返るまで、
音楽、動画、アプリケーションや書籍のコンテンツ流通による利権は
根こそぎ持っていかれることをお忘れなく…
まぁ戯言です。気にしないでじっくり身の振り方を考えてください
> 携帯キャリア 様
次の黒船に乗り遅れるのはどこかじっくり観戦させていただくこととします。
# あわせて
IDEOS の購入も
春までは静観することにします。。。たぶん。。。自信はないけど (^^;;;
「
Verizon 版 iPhone 発表へ? 発表会は今晩深夜 1 時から」
(
Engadget Japanese より)