KANGAROO-OASIS
「
UIEngine 」
この記事、今後のソフトウェアの流れが変わるかもしれないと思わせる所が有りますよ。
と言うことだったので、自称「ソフトウェア技術者の端くれ」として、
ちょっと興味を持って、元ネタと思われる以下の記事を読んでみました。
「
UIEngine が生み出す新しい家電のコンテンツサービス」
(
CNET Japan より)
ダム端末時代がある意味究極の Thin Client 時代で、PC の時代が来て、
ウェブ文化の隆盛で Thin Client モデルというのがまた声高に言われるという
時代で巡る一種の「宗教」だと思っています。
なんだかんだとこの手の思想は議論されますが、
Fat Server - Fat Client が一番幸せに決まってるじゃないか
と言う大学時代の恩師の言葉が、私の思想の根幹にはあります。
上記の記事の以下のコメントにも象徴されていますが、
Thin Client 教を信じる方々の主張の根本には、
コンピューティングパワー云々よりそれを操る人間を
基本的には「学習能力に乏しい、考えない存在」と決めつけている節があるように思えてなりません。
これからは、どんどんファットクライアントがなくなっていくと思います。
最終的には、 Office のように大きいソフトウェアをクライアント側に
インストールして動かす時代は終わり、すべてがウェブアプリケーションになる時代が到来すると
思っています。
アプリケーションのロジックやユーザーインターフェースの技術はすべてサーバ側にあり、
クライアント側にはユーザーインターフェースのレンダリングエンジンだけがあるという環境。
:(中略)
PC を初めて買うような初心者に、アプリケーションのインストールやデータのバックアップを
やらせてしまうのが、そもそも間違いなんです。
メンテナンスやバックアップはプロがやるべき作業です。
だからこそクライアントにパワーがあってもろくなことに使わない、
サーバ側でいたせりつくせり面倒をみてやるから、黙ってそれを使っていれば幸せになれる…
という IT ガバナンス的な発想に繋がっていくんだと思っています。
確かにある種の作業に対して、そのロジックはサーバ側に、
メソッドはクライアント側に実装するというのは理想だと思います。
ただし、それはソフトウェア屋さんの視点から見た理想の一つであって、
もう少し視界を広げて、ハードウェアも含めてコンピューティングパワーというものを考えると、
ハードウェアの上限は伸び悩み、下限はどんどん上がってくると言う現状にあっては、
ロジックとメソッドがどこのパワーを使って実現されているのか意識させない環境を作り上げる
(今風の言葉を使うなら「グリッドコンピューティング」というのが近いイメージ)
と言うのも理想の一つであることも間違いありません。
結局、クライアント・サーバと言う概念の範疇で結論を求められるのなら、
一つの作業に対して、
コンピューティングパワーを使ったソリューションを提供する際に重要なのは、
どこにパワーを置くかではなく、どのようにパワーを配分するかであり、
そこにこそプログラマなり、アーキテクトのセンスが求められるのだと思います。
そのセンスが、使う側にどのように伝わるか?
それが「良いアプリケーション」か否かを分けるポイントでしょう。
UIEngine はある理想を具現化するすばらしいアプリケーションかもしれません。
しかし、それが実現するのは理想の一つであって、決して真理ではない。。。そう思います。
何より真理なんてそんなに簡単に見えてしまったら、何事もおもしろくないでしょう (^_-)-*